No.514◆冬場の「入浴中死」、一人暮らしの難題ですね

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

温暖化の異常気象なのねと言い、薄着で初冬を迎えていたのに、あっという間に本格的冬季に入りました。と同時に私の一番気にしている死亡例の報道がありました。それは「女優で歌手の中山美穂さんが自宅マンションの浴室で死亡した状態で発見された」というニュース。死因・身元調査法に基づく解剖を終えた後の発表では「入浴中に起きた不慮の事故による"溺死"」だったそうです。この報道のすぐ後8日に私の高校の女子同期生の訃報が届きました。ご子息からのmailには「風呂場で急死いたしました。ヒートショックと呼ばれているものの影響だと思われます」と。そして中山さんと同日・同時刻に、と書かれていました。

 

夕食には飲酒が付き物という実家や婚家で暮らしてきた私は、飲酒後の入浴には最大限の注意を払ってきました。自分もそうですが、仕事帰りは必ず飲み会というような伴侶が居ましたから。先に寝たふりをしていても、浴室が静かすぎると感じると気配を探りに行きました。何度かウトウトしていたらしい時があり、私は彼の"命の恩人"と恩を着せていました。

 

またある年、温泉宿に泊まった時、テーブルのお菓子を見て、「お土産の候補ね」と言ったら、お宿のご主人が「ま、そうですが、空腹で温泉に長湯されると危険なので…」と言って、「お菓子とお茶を召し上がって血糖値を少し上げてから、お湯に行ってくださいということで」と教えてくださいました。以後、空腹時や飲酒後は入浴をしない、というのはずっと守ることに私は決めています。入浴中には死にたくない、という確たる信念の下。

 

Web検索の中で見つけたコメント(医療ジャーナリスト・森田豊氏)によると、浴槽内で(1)深い眠り、(2)熱中症、(3)ヒートショック、などが生じていた可能性が考えられる、と。「ひどい疲れの時や睡眠不足の時、激しい運動の後やアルコールを摂取していた場合は、入浴中に深い眠りに落ちて溺死してしまう場合がある」と解説。「特に湯船が広いと眠りが深くなることがある」とか。同期の彼女は怪我のリハビリ中だったそうですし、飲酒が関係しているはずはないと思うので、"ヒートショック"だったのでしょうか。

 

12月8日の定例会では「一人暮らしのメリット・エライところを挙げてみませんか」がテーマでしたが、この話題は出ませんでした。11年前の12月、浴室で死後発見された一人暮らしの私の友人が居ます。ショックでした。別居の1人っ子のご子息が立ち寄って発見。いつも連絡を取り合っている母子さんでしたから…。孤独死なんてじゃないですよね。

 

冬場のヒートショックと夏場の熱中症。いつも通りの元気な日々のちょっとした隙間。一人暮らにとっての難関ですよね。入浴習慣や室内環境・健康管理、等々、年齢に関係なく、自己管理・自己自制に努めることにしましょうね。