◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇
最近の1番ショックなニュースは、外出先で遺体になった時「顔写真付きの身元確認できるもの」を持っていないと、身元不明の遺体になってしまって1年以上たっても「法的には生きたまま」になっている、という内容の見出し(10月10日『47NEWS』)。
皆さんは外出時にどのような「身元情報」をお持ちですか? 私は後期高齢者になってから自動車の運転免許証を返納したのと、コロナ禍中にパスポートが期限切れで失効したので、今は「顔写真付きの身元確認できるもの」はマイナンバーカードだけとなりました。でも常時持ち歩く気にはならないので、顔写真付きの身元確認証は持ち合わせていないまま外出しています。
30年ほど前の話ですが、会員の区会議員のOさんが外出先の駅頭で久し振りに市民団体でご一緒していた方に会い、お互いの元気な姿を喜び合い、居所と電話番号を確認するために名刺を渡して別れたその数時間後、警察から電話が掛かってきたというのです。なんと先程の女性が転んで病院に搬送されたとか。そして意識が心許ないので「持ち物の中にOさんの名刺があったから電話をした」と言うのです。1枚の名刺から身元確認ができて、怪我をなさったその女性はその後事なきを得たと言います。この件が記憶にあるため、私は「緊急連絡先」と書いた別居の子供の名刺と、名入りの交通系ICカードとかかりつけ病院の診察券とをカードケースに入れて持ち歩いています。
しかし前記の記事は、「昨年6月、40代の男性が京都市内のファストフード店で突然倒れ、病院に運ばれて死亡した。スマートフォンや財布を身につけていたにもかかわらず、身元不明で引き取り手のいない遺体『行旅死亡人』として火葬されてしまった。死亡記事を載せた官報には『推定』として、名前も住所も記載されている。なぜ、身元不明の遺体とされてしまったのか?」というもの。そして、「官報によると、男性の本籍は不詳で、死亡時の推定年齢は46歳だった。体格は大柄。スマートフォン1台、時計1個、鍵4本、キャッシュカード1枚、ポイントカード16枚、診察券2枚、図書カード3枚、テレホンカード1枚、バスカード1枚、財布1個、現金5万1893円…。これだけ多くのものを身につけていた」とも書かれていました。(ご遺体は火葬されましたが、死亡届は出ていないので"存命扱い"なので郵便物も届き続け、光熱水道費も自動引き落としされているそうです。)
こんなに情報があるのになぜ「行旅死亡人」になってしまったのか? 区役所担当の説明では「運転免許証など、顔写真のある身分証明書がなかった」ことを理由に挙げて、「亡くなった人物が生前、第三者の財布やスマートフォンを手に入れて所持していた可能性などを、完全には排除できないから」と説明したと記事には書かれていました。私は「緊急連絡先」と書いた名刺と名入りの交通系ICカードとかかりつけ病院の診察券をカードケースに入れて持ち歩いていて、「身元不明者」にならないと安心しているのに。
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