No.496◆アクティブシニア期の住居を考える

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

7月の定例会は『老後の家がありません シングル女子は何処に住む?』の著者・元沢賀南子さんを迎えて、アクティブシニア期の住宅探し事情を伺いました。「アクティブシニア期」とは何歳くらいのことを指すのか、ですが、あなたのお考えは?

 

私は"還暦(60歳)"か"第一次退職後"から、"生活支援開始時"までを想定しています。 ということは「アクティブシニア期」の入り口は「アラカン(60歳前後)」ということでしょうか。職業によって引退時期は異なりますから、「アクティブシニア期」の始まりも終わりも個人差は大きいことでしょう。私の入り口は63歳でした。

 

「アクティブシニア期」に入って驚いたのは、それまで27年間住んでいた自宅の環境が全く知らない街のように見えたこと、です。道行く人々は知らない人ばかり。街並みもマンションが増えたのですっかり変わり、大手スーパーができた商店街も懐かしさも感じられないくらい変化していました。帰郷した「浦島太郎」状態です。新規転入者なのねと認識を新たにし、心機一転、新しい生活に入ったものでした。

 

気が付けば自宅も高齢期仕様の低層マンションに代わっていました。居室は1階でバリアフリー、水道は都の配水管から各戸へ直配水(停電時も利用可能)、等々。多分建て替えの際に、持っている限りの知見を突き付けたのでしょう。きっと単身けんのおかげだと思います。自分の日常生活は成り行き次第で暮らしていたのですから。改めて感謝です。

 

この建て替え時の私の年齢は、今回の講師・元沢さんと同時期の「アラカン」期でした。自分の「アクティブシニア期」や高齢期を考える余裕のない日々を送っていた頃でした。しかし、先輩諸氏と共に生涯を考える・学ぶ等の環境下にいたことが功を奏したのは確かです。

 

自立期の住まいが要支援期でも住み続けられるのか。または転居が必要なのか…。高齢期が長くなりました。健康寿命も長くなってきています。そして、それらをサポートする公的施策も民間機能も社会的資本も補填スピードを上げています。

 

しかし、地域差も大きいと思います。少子高齢化の中、これらのサポートの担い手の少ない地域では、効率が悪く採算が取れなければ、民間の支援事業も公的支援事業も成り立ちません。これらを補助する策としては、デジタル通信網やドローン・ロボットなどの無人システムの活用が急速に発展することでしょう。

 

下降する生活技術を補うため、"楽隠居"志向でなく「アクティブシニア期」を活用して、次の時代に備えることが求められているのではないでしょうか。