◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇
7月12日、「都内のスーパーでエスカレーターに乗っていた80代女性が転倒し首が挟まれ死亡した事故で、この女性が手押し車をエスカレーターに乗せていたことが12日、警視庁田無署への取材で分かった」というニュースがありました。
このニュースに「あーぁ、起きたんだー」と思った私。もう10年ほど前になるのでしょうか、とても怖い場面に出会ったことがあるのです。成田空港の出発ロビーへのエスカレーターでのこと。上りエスカレーターの前で3人ほどの後ろに並んでいて上を見ていたとき、人は乗っていない状態の隣の下りエレベーターの上部から、大きなキャリーバッグ(スーツケース)が大きな音と共にすごいスピードで滑り落ちてきたのです。声も出ない程の恐怖を感じました。以後私はキャリーバッグというのでしょうか、トロリーバッグと呼ぶのでしょうか、底に車輪が付いたバッグを持った人がエスカレーターに乗っておられるときには、緊張するようになりました。
かく言う私も実はキャリーバッグ型の買い物バッグの愛用者です。スーパーの階の移動はエスカレーターのお世話になっています。でもとても気を使っています。自分が怪我をする危険よりも、バッグが身から離れることが決してないように乗る位置・乗せる位置。特に幅のあるエスカレーターの場合、お急ぎの方が追い越す際に私のバッグに触れられないように立ち位置、置き位置を工夫しています。いつか見た光景が意識にこびり付いているのです。
エスカレーターはいつも有難く利用させていただいています。特に時間的余裕のできた高齢期、駅の階段を駆け上ったり駆け下ったりすることは皆無。スーパーなど、大型のストアーやお店などでも、階段やエレベーターではなく、エスカレーターを目で探し、少々歩数が増えてもそこへ移動し利用。早朝ウォーキングを日課にしているのに、です。
便利なキャリー系バッグの発達の恩恵には日々あずかっています。一方で体力の衰えと、自立した日常生活の維持には車輪付きの器具や便利グッズの利用が増えることでしょう。そしてそれらを利用する人たちも増えることでしょう。今回の事故のようなことが起きることも増えるのではと危惧しています。
「エスカレーターを利用する際には歩かないこと」が言われるようになって来ましたが、ハンディキャップのある人への配慮ばかりでなく、人や荷物に触れることで大事故になる場合もあることを念頭に行動してほしいものです。昔はなかった事故かもしれませんが、これから増えそうな事故であることは確かではないでしょうか。手押し車や歩行器、ベビーカー、キャリー系大型バッグ等の利用時はエレベーターへ、が常識になってほしいものですが…。
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