No.477◆「頼れる人がいない」? 頼る前にできることは?

 

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

「頼れる人がいない」という文字をネットや新聞の見出し等でよく見かけます。単身世帯だけではありません。こんなフレーズが何故しばしば出るのでしょうか? 何故特定の個人(人)に頼るのでしょうか? 身近な家族・親族・地域の知人は皆あなたの味方、守護人だと思いますが、でも相談事の回答者としての実力は…。

 

かつてそのような時代があったことは聞き及んでいますが、それはあなたを守るためだけではなく集団を維持するためだったことが多く、現在では"個人"を守る社会になってきたのではないでしょうか。親や知人に利用されたり、騙されたり、家族単位・集団単位等の社会的な慣習の中、個人の意思よりも集団の意向に従わないと社会的不利益を受けるという現実は「違うだろ」と言うのが常識になってもう何十年が経ったことでしょう。

 

社会保障システムが整ってきています。かつては健康保険証も世帯単位で1世帯に1枚でした。私の幼少期は3世代家族だったので、各自が通う医院がまちまちで健康保険証がどこの医院に誰がお預けしているか、誰が持っているのか分からないこともあり、家庭内で困ったこともありました。一人ひとりに渡されるようになり安堵したことを覚えています。

 

まだまだ世帯単位のことは残っています。しかし、世帯単位でなくなってきているのが現実です。マイナンバー制度が出来たではないですか。つまり国として個人単位の記録ができたのです。家族・親の収入や居住地に関わりなく、一人ひとりの、自分自身の権利や生活権が公的に確定されたということなのではないでしょうか。

 

社会システムが変わってきています。身近な誰かに頼るのではなく、法的に支援するシステムになっています。困ったときは公的窓口に相談することができるようになっています。身近な方たちは自分と同じレベルの場合が多いと思いますが、公的窓口で対応してくださる方は専門家かそれに近い方々です。絆(きずな)や柵(しがらみ)に臆することなく、恩に着ることもないので、赤裸々に伝え、相談することもできるでしょう。

 

ネットには色々な情報が出ていますが、責任が取れる相談先にまずは訊ねてみてはいかがでしょう。自治体の広報誌には相談窓口が分野別に出ています。それでも納得できない場合は"法テラス"など、公的に認められた職能団体の窓口にアクセスしてみては。

 

こんなことを今日書く気になったのは、パソコンやスマホで悩みの回答を検索して、それでもストンと腑に落ちるような解決策が捕まえられないと電話をかけてくる方が増えているからです。知りたいこと・聞きたいことを整理してメモし、公的窓口を訪ねてみてはいかがでしょうね。