No.475◆「成年後見制度」改定が俎上に ― あなたの希望する改正個所は?

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

小泉龍司法相は13日の記者会見で、成年後見制度の見直しを15日の法制審議会(法相の諮問機関)総会へ諮問すると表明。マスコミ各社は一斉に報道しました。そして2026年度までに民法などの関連法改正を目指す、とも。

 

成年後見制度は、2000年4月1日、介護保険法と同時に施行されました。当会の設立時1990年には審議中で、その後審議会や公聴会・説明会の傍聴に会員は期待を持ってよく出かけましたし、専門家を招き講演会や学習会等を開き、施行を待ち望んだものでした。この2法は「家族に頼らない生き方を目指す」単身けんにとって望んでいた法制度でしたから。

 

施行から23年が過ぎ、社会情勢や国民の暮らし方、特に家族関係がかなり変遷し不都合が目立ち始めています。関連法ともども改正を目指すとの報に、私は大歓迎です。

 

1990年の平均寿命は女性80.48、男性75.92でした。近年2022年では女性87.60 男性81.49となっていて、"人生百年時代"と言われるようになり、2023年の100歳以上の人口総数は9万2,139人です。家族単位の生活支援や介護支援が当然視されていた頃と違い、これら支援体制の社会化がもっともっと進まないと高齢者だけでなく、後に続く者たちまでが希望を持って齢を重ねられなくなってしまいます。現状から改正案を作成するのではなく、ゆとりを持った数字から将来を予測して検討していただきたいと願っています。

 

報道によりますと「検討項目」として挙げられているのは、

・利用期間――現行の終身期間を改め、期間限定の利用を可能に。

・利用範囲――現在は財産管理から日常の買い物まで包括的。被後見人の同意などによって範囲を絞る。

・交代――支援を必要とする状況に応じて成年後見人の交代を可能に。

 

私が特に見直してほしいのは、上記の中で「利用範囲」です。日常生活支援を主とした「身上監護」と、金銭・財産管理を主とした「財産管理」とを同一の人に死ぬまで委任することの不安や、双方を担える適任者の選択に無理があるようにずっと思っていたからです。

 

この成年後見制度設立前の審議の中で参考にしていたのは、ドイツの世話法(身上監護が主)、イギリスの持続的代理権授与法(財産管理が主)でした。が、その学習会の中でも「同一後見人でよいのか」と言われていた記憶があります。

 

「人生百年時代」に交代の利かない後見人に頼らざるを得ない「被後見期」を送るのには恐怖を覚えます。「諮問会議」の続報を待っています。

 

皆様のご意見を是非お聞きしたく、ご投稿をお待ちしています。