No.472◆「避難せよ」と言われても

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

年明け早々「令和6年能登半島地震」に襲われた日本。「新年の抱負」を語る間が無いうちにスタートしました。

 

1人暮らしがマイノリティーでなくなった近年では、性別・年齢・国籍に関係なく、「自分事として」諸事自分で意思を固め自身が実行せざるを得ない社会になっています。今回は「地震」災害というよりも「複合大震災」です。29年前の「阪神淡路大震災」や12年前の「東日本大震災」を鮮明に記憶している「忘れる間もない頃に発災した大災害」です。後期高齢者と呼ばれる身になり、運転免許も返納し、マイカーも手放した今、「避難指示」が出ても、避難の仕様が無いのが現実だということを思い知らされた今回です。

 

「指定避難所」は誰でも逃げ込んでもいい場所でないことも初めて知りました。「早い者勝ち」ではなく、「在宅避難が不可能な人を優先」で、私の様なマンション居住者は、「建物が無事であれば、エレベーターなどの設備の故障があっても、受け入れられないケースがあります」と東京都は『東京くらし防災』(2023年11月発行)に記しています。

 

昨年11月の当会の定例会で、参加者全員が「指定避難所には避難しない」でした。一番の理由は「避難所は近隣の人が全員退避できるほどのスペースや設備があるとは思えないから」でした。つまり、知らなかったのは私1人だったようです。

 

昨日今日の現地からのニュースでは、1次避難所から2次避難所への誘導が進んでいるようですが、家族が離ればなれにならないと各自のこれからの生き方に障害が起きたりする一方で、在宅が危険な家屋を離れて避難すると、留守宅が大災害に便乗した犯罪に遭う危険があるので、なかなか決断し辛いという事情が伝えられています。2次避難などが進まないと復旧作業が進まないので、石川県警は被災地の治安対策について21日、次のような犯罪防止策を発表しています。

 

自動車警ら部隊による被災地域全域での24時間パトロール。住民が不在となる地域の防犯カメラの設置。検挙態勢としては他府県警からなる特別機動捜査部隊と被災地域の警察署の刑事課が連携し、検挙にむけた捜査を徹底していく、等々。

 

避難所での迷惑行為や性犯罪対策は以前から各自治体で審議されています。各自が持つようになったスマホの普及が災害時により深刻な事態を招いているようです。その一方で、情報の受発信、被害状況の把握・記録、連絡には大いに役立っています。かつては公衆電話に列を作っていた頃もありました。当会でもテレカやコインの準備を呼びかけていた頃もありました。時代の進化はいい方向だけではないようです。