◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇
「恩おくり」! 私は初めて聞く言葉でした。23日、朝のNHKニュースでのこと。発言者は"母乳バンク"に登録して"ドナー"になった方で、この方は低体重児をご出産され、ご本人も体調が思わしくなく、出生直後という母乳効果(赤ちゃんが感染症や病気にかかるリスクを低減する効果)が期待される大事な時期に母乳を少ししか与えられなかったのだそうです。でも無事に育ってくれたので病院等関係してくださった方々に感謝しているとのこと。しかし"母乳バンク"の存在を知っていたら、その時期に利用させてもらって、そのリスクを減らしながら安心して育児ができたのに、という思いをなさっていたそうです。そして第二子を授かったとき、この時期にしかできない「恩おくり」として"母乳ドナー"登録をされて母乳バンクに冷凍宅配便で送っていらっしゃるそうです。
新生児と幼児を育てる毎日の中でのご活動に頭が下がります。一生のうちで限られた時期にしかできない社会貢献、このようなニュースが全国に伝わるという明るいニュースで私は嬉しくなりました。
親の貧困、子どもの貧困→若年層の低収入・無職層の増加→結婚希望の青壮年層の減少→少子化対策→子育て支援の各種支給金・税金優遇策…。連鎖反応としか思えない政策の創出が今なお続いています。矢印の方向を180度転換すれば少子化対策は収束するのでしょうか。
"少子化問題"は"お金"で解決できる問題なのでしょうか? 経済的に苦しい家庭が多かった時代に育った身としては「そうかなぁー」という気がしています。核家族化、個人情報保護の最重要化による個人情報の"視えない化"に起縁する孤立化、お節介かもしれない支援の出し難さ。そして情報の洪水による利用サービスリテラシーの不足、等々が。
"母乳バンク"の存在を知っていたら…と言う彼女の想いに共感することが多いです。この時期に在ったのに知らなかった!という無念。知らないことは恥ではありません。スマホは全国民が持っていそうな昨今、検索してみましょう。公的機関のページで。
"少子化対策費"は"所得制限撤廃"、"高齢化対策費"は"所得制限増設"。前者は労働により所得が増える層、後者は所得が減る層です。納得がいかない私です。
クリスマスの飾りつけの中には、聖母マリア様がキリストを抱いていられるお姿がよく見られます。杖を突いた爺婆にはどのようなご利益を授けてくださるのでしょうか。確かに人類の夢の一つ"不老長寿"と言われる域の"人生百年時代"を授けてくださいましたが、その日々の指針をいただけないでしょうか。
残された時間内での私の「恩おくり」は、「長者の万灯」には及びもつきませんが「貧者の一灯」を続けさせていただきます。天国か極楽かわかりませんが、どちらかへお導きいただきたくお願い申し上げます。
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