◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇
身寄りのない高齢者らを対象とした民間のサポート事業を巡って、総務省行政評価局は8月7日、厚生労働省や消費者庁等に契約トラブルが増える恐れがあるとして改善を要請した、という報道がありました。その理由として、施設入所時の身元保証や死後事務等の多岐にわたるサービスを提供するとしている事業者の79%が契約内容を伝える重要事項説明書を作成していないとの調査結果が出たからということでした。
現在、サポート事業を規制する法令や、監督官庁はない、そうです。そして「当評価局は『単身の高齢者が増え、サービスの需要は高まる。利用者の安心確保と事業の健全な発展が必要だ』として、契約ルールなどを定めた統一ガイドラインが必要との見解を示した」(「共同通信」2023年8月7日)そうです。
早速事務局に大阪から電話がかかってきました。
「東京の豊島区とか神奈川の横須賀市とかでは“終活支援センター”みたいなのがあるというけど、どうなの?」
私「そこのHPを見た?」
「まあね」
私「豊島区だと、『登録できるのは親族などの緊急連絡先に加え、(1)通院先、(2)臓器提供の意思、(3)財産やSNSの利用状況、遺影用写真などを家族に伝えるためのエンディングノートや遺言書の保管場所――など。登録者が重い病気を患ったり、死亡したりした際、事前に申請した家族のほか、警察や消防、医療機関からの照会に応じる。遺言書などの書類自体は預からない』とあったでしょ」
これまでの自治体のサービス例としては上記の内、親族などの緊急連絡先、通院先、臓器提供の意思等のメモ書きを容器に入れ、冷蔵庫などに置いておくというのが多く見受けられた事例でした。そこからは進化しているようです。あなたの自治体はどのような支援策が採られていますか。
「あなたに“身寄り”はいらっしゃいますか?」と後期高齢者らしい人に訊くと、「いるけどねぇ。兄妹も齢だしねぇ。お嫁さんが引き受けてくれるとは思えないし…。甥姪とは随分会ってないし…頼りにできないわねぇ」という人がかなり多くいらっしゃいます。「できるだけ顔を合わせるようにしているけど、お盆か法事の時ぐらいだものねぇ」という人。「お葬式も無理して来なくても」と言われた例はコロナの影響もあって多く聞かれました。
“家族葬”や近親者だけで、という法要も格段に増え、“身寄り”は縁遠くなったようです。単身けんが発足した1990年当時、近隣の外聞も日常生活には大事だった頃ですが、遠くで生活するシングルの“身内”からは連絡が来ないのが一番だったようです。例えば帰省は人目につかないようにとか。法事などの出席は無理しなくてもよいとか。私が聴いた中で唖然とした例は、行事の兄妹間の割り勘額は連絡が来るが、夫のいないシングルの女性は出席しても“席”がない、女だから…と。「身内」「身寄り」の言葉の中身は変わりましたよね。「親族などの緊急連絡先」は有効に機能する状態ですか?
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