◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇
「異次元の少子化対策」なる政策が急ピッチで検討されているようです。要するに「結婚→妊娠→出産」というプロセスを、妊娠可能な年齢の女性に求めていて、その気にならない・なれない要因を解消、もしくは小さくして上記のようなコースに該当女性を誘導しようとしているのでしょうか…。
なぜ少子化社会はいけないのか、私は理解していないようです。技術の発展が何とかしてくれるのでは、くらいに思っていました。例えば、食料生産現場も機械化やDXの発展で常時無人で遠隔管理や操作が可能になり、多くの労働者を必要としなくなる、とか。マンパワーが重要な医療や介護の現場も、リモートによる会話やデータの送受信により遠隔診療や相談ができたり、介護器具の進展で患者や要介護者により適した措置や対応ができるようになるだろうし、と。だから人手不足も解消と言えなくとも緩和傾向になるのではなどと、希望的観測をしていました。今も…。
日経新聞では6月「『#生涯子供なし』識者はどう見る」という5回シリーズを掲載していました。第1回(6月12日)は、子どもを持たない人の急増についてでした。その中で少子化がなぜ問題なのかというと、「社会保障制度は主に若い世代が高齢者を支えることを想定していて、子供が増えていかないとうまく維持できない。一方で、年金や介護保険などが充実して自分の老後を社会が支えてくれるとなると、子供を作る必要性が薄れていく。一番極端な例が、子供がいない人の増加だ。これは当然の帰結といえる」と。つまり「社会保障制度の観点」から大問題のようです。
私は「子どもを創った」という覚えはありません。同世代の婚姻率は90%以上です。老後の支えとして結婚→妊娠→出産という選択をした同期を知りません。ましてや補助金が出るから出産を望むというような話を聞いたことがありませんでした。今も…。
「3食昼寝付き」と主婦の人を表現した記事を見たことはあります。それは昭和30年頃に誕生した公団住宅の若い主婦を揶揄した表現でした。戦後政策「核家族」が実現し"農業→工業化"が見えてきた時代です。「4人が暮らせる賃金を」という春闘のスローガンが出てくる時代です。確かに農家や商家と異なり、家事専業の身分をそのように表現したことは一理あります。
しかし大家族の世帯と異なり"ワンオペ"の家庭です。でも家電製品の普及がそのワンオペ家族を支えてくれ、同時期に「パートタイマー」という主婦対象の兼業職業が誕生しました。その「家計補助的就業状態」が今の納税を回避する主婦になっているのでしょう。
「異次元の少子化対策」は社会保障制度の見直しからスタートするべきなのではと思うこの頃です。
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