No.427◆「食費の内訳」談議から見えたこと

 

◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇ 

 

前号で食品・食材の値上げラッシュを「自炊」で乗り切ろう、と書きましたが、「ちょっと違うんじゃない?」というお電話がありました。電話の主は長年の飲み友達です。彼女(Wさん)の言うのは尤ものことです。食事は「エサ」ではないのですものね。

 

Wさんと夕食をよくご一緒していた当時、食事は「会食」であり、情報交換・自身の思考の確認・鬱憤の捌け口・癒しの時間・等々、でした。「おいしいものが食べたい!」は二の次、三の次でした。お互い得る収入も人生でピークの頃だったことでしょう。

 

今報道にあるような食費に悩んでいる人たちは、Wさんや私たちと同じリタイア組ばかりではなく、働き盛りで時代の主役の年代の人たちも多いことが大問題で、「自炊」能力があることで片付くことではない、というお話。全くもってその通りです。

 

でも、です。"買った方が安い"には少しイチャモンを付けたいです。昨年の流行語に「タイパ(タイムパフォーマンス=時間対効果)」がありました。あなたの時給と比較しましたか? 

 

現役時代の一時期、子どもの夕食時間を守りたくて、朝食仕度時にお昼の弁当と夕食の下準備を一緒にしていました。食材の出し入れや洗い、刻みなど効率的でした。その効果で帰宅時間が迫っても落ち着いていられました。多分子供たちも同じように、夕食は"家にある"と安心していたと思っています。(当時は専業主婦も兼業主婦も家事はワンオペが普通でした)。タイパだけでなく「コスパ(コストパフォーマンス=費用対効果)」も良かったと思っています。

 

こんな時期も数年です。私の仕事が長引くようになれば、メニューをメモにして冷蔵庫のドアにマグネットで止めておくと、それぞれが冷蔵庫の中から仕掛品を取り出して、電子レンジや小鍋で仕上げて食し、塾や宿題など自分の時間に埋没していました。

 

私は実家を離れて55年以上ですが、転勤等引っ越しの日でさえ出前で済ましたことがありません。次の日を想定して食料だけは用意していましたから。それは実家を見習ったからでしょう。戦争や自然災害を経験した祖父母・親が「食べる物」だけは常時確保していた生活信条を見て育ったからでしょう。感謝しています。

 

自分の仕事の環境も中身も年々変わっていきます。私生活もです。まして今はコミュニケーションツールが多様にあり、スマホやパソコンでメールもあればZoomもあります。摺り合わせ次第で効率よく暮らせる手はあるのではないでしょうか。