◇事務局・石川由紀が折々を綴っています。◇
6月15日の朝刊はニコニコして読みました。我が家に届いた紙面には、「家族の姿『もはや昭和ではない』 個人単位の社会制度を 男女共同参画白書」(日経新聞2022年6月15日)と出ていました。
単身けんは「個人単位の社会制度を」と声を上げた第一号の市民団体です。あれから32年、やっと政府が社会の変化に気が付いてくれました。当時、知人で社会・福祉系問題の政府委員をしている大学の教授たちからは「ありえない。個人単位にしたら国家予算は持たない」と言われ、「止めておけ」と言われたものでした。
今回「もはや昭和ではない」と政府は言っていますが、今は“令和”です。平成の30年間の国民生活の変化をどのように見ていたのでしょう。国連が1979年に採択(1981年発令)した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」を日本政府が批准したのは1985年。そして、1994年「男女共同参画室」を設置。「男女共同参画社会基本法」が公布・施行されたのは1999年でした。
また今回閣議では、白書決定に際して「さまざまな政策や制度が戦後の高度成長期のままとなっている」と現状を認め、配偶者控除など各種制度を見直す必要があると提起した、と報道されています。当会では、専業主婦を前提とした「配偶者控除」だけでなく、年金制度など社会保障制度全般にわたって改正が必要と主張してきました。例えば、厚生年金加入者の配偶者が保険料負担なしで年金を受け取れる「第3号被保険者制度」など、家族単位での保障のせいで、どれだけ個人の生き方が制限されてきたことか。「1人分の生活権の保障」を求めて、遅ればせながらでも良い、再度声を上げていきませんか。
日本の男女間の賃金差は、経済協力開発機構(OECD)の2020年調査によると、男性賃金の中央値を100とした場合、女性は77.5と発表されました。この格差は「性別役割分業」意識が「女子差別撤廃条約」批准から35年経っても強固に続いているという証ではないでしょうか。家事・育児・介護等を女性が担う習慣、また、扶養家族手当との絡みから年収を一定額以下に抑えるため就労時間調整をする既婚女性の姿が見えてきます。
「2022年男女共同参画白書」は、世帯単位でなく個人単位の制度設計や、女性が経済的に自立できる環境づくりの必要性も強調した、と発表されました。18歳で「成人」と認められるようにもなりました。「人生百年時代」と言われ1人暮らしをする期間が増えました。「個人単位の制度設計」が速やかに確立されることを期待します。
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