効力がないというような評価を受けていた自筆遺言証書を法務局が保管してくれるという「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(遺言書保管法)という新しい法律が成立し、2020年7月10日から受付が始まります。予約は7月1日から始まっています。
自筆遺言証書は手軽ですが記載事項にミスが起きやすく、死後に遺族が現物を見つけられなかったり、本人の知らないうちに改ざんされていたりする事例もあったりして、推奨されていませんで
した。しかし、自分や家族の行く末を深慮するとき、遺言を書き留めたくな
るものですが、公正証書等となると敷居が高く、思いを書き残しておくとい
う作業は先送りになりがちでした。
しかしこの度、全国312の法務局が7月10日から1件3,900円の手数
料で預かる制度を始めることになりました。保管先は遺言者の住所地・本籍
地・所有不動産のある地のいずれかの地域の法務局へ、本人が自ら出向いて
手続きすることで、思いが残せることになりました。
遺言の内容の相談はできませんが、手続き時に職員が日付や押印の有無な
ど、法律上の形式の不備をチェックしてくれるそうですから、自身で保管す
るより遺言が無効となる可能性は減ります。
しかし、「遺言を書く能力があるか、強要されて書いていないか、本人の
意思を反映して正確に書けているか」などの判断を法務局の担当者がチェッ
クすることはないそうですから、預ければ有効と保証されるわけではないよ
うです。
これまでは自筆証書遺言が見つかっても裁判所で遺言書の確認をしてもら
う「検認」という手続きが必要だったので、相続発生後の手続きが煩雑で
時間がかかるというデメリットがありましたが、この「検認」の手続きが
不要になり、相続手続きをスムーズに進めることができるというメリットが
生まれました。
2019年は戦後最多の138万人が亡くなるなど相続が大量に起きる時代に
入っています。少子高齢社会になり、1人暮らしが増え、家族間の交流も少
なくなっている現在、公的支援として遺言の使い勝手をよくし、「争族」と
も呼ばれている遺族間の紛争などを減らすのがねらいだそうです。(遺言状
を遺族が納得して受け入れれば、の話ですが・・・)
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