「特別定額給付金」は世帯へなのか、個人へなのか?

 一律10万円の特別定額給付金をめぐっていろいろと物議が起こっていると言います。その問題に関しては、単身けんの今号172号に特集したように、その申請方法として “郵送” と “オンライン” とがあり、“オンライン” による申請には住民・行政双方に理解と意思疎通ができていなかったようで、 'すったもんだ!' が起こっています。

 新たな問題点として挙がっているのが「特別定額給付金」は世帯へなのか、個人へなのか? という問題。

 ことの発端は、総務省ホームページに、「給付対象者は(基準日に)住民基

本台帳に記録されている者」「受給権者は、その者の属する世帯の世帯主」

と書かれ、申請も受け取る権利も世帯主にあると書かれていたことから、異

論が多く出てきたようです。

 世帯員で収支を勘案して、コロナ禍による影響を鑑み、対処すれば問題は

なかったのでしょうが、世帯員の中で合意がなされないような状況にある世

帯では争議の対象になっているというのです。

 DVや児童・高齢者虐待から逃げている被害者については、支援団体の申

し入れによって、本人が受け取れるとする通知が出され、親による専有を心

配してか、文科省が大学や教育委員会に対し、学生に支給を知らせるよう促

す通知も出された、という事態になっています。

 1人暮らしだからと言っても、住民基本台帳上は単身世帯ではない人もい

ます。住民として転入転出届けも長らくしていないという人もいます。

 世帯間で合意ができるような関係でない場合、世帯主の口座に入った「給

付金」が各自の納得のいかない使途に使われることは想像に難くないところ

です。

 別居家族間だけでなく、小学生が先生から「あなたにも10万円が給付さ

れます」と聞き、「僕は欲しいものがあるから」と親と揉めている例も弁護

士のwebには出ていました。

 

 そもそもコロナ災害をめぐる給付金では、当初、世帯主の損失の度合いを

基準に1世帯30万円案が発表されたのでした。でも、これでは共働き家庭

の損失が反映されにくいなどの批判が出て、一人当たり10万円の個人ごと

の給付金となった経緯があります。

 一律10万円の特別定額給付金の受給権者が「世帯主」とされ、「世帯主

以外の女性や弱者、個人に届かない」との批判が高まっています。迅速に各

個人に給付されるにはどのようなシステムが必要だったのか、次回に備えて

議論されることでしょうが、あなたはどのような方法を提案したいと思いま

すか。

「世帯」や「現住所」、「納税申告」など、義務を気にすることなく過ごし、

国民・住民の権利にも関心が薄かったということはないでしょうか。

 

 

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