先日、日本のエンゲル係数が29年ぶりに高水準(25.8%)になったというニュースが各メディアから流されていました。
その昔、私が学校で習ったときは、一般的に経済が発展途上にある時はエンゲル係数が高く、成熟すると低くなると教えてもらったと記憶しています。理由は食費以外に支出をまわす余裕がなくなるので、「食べるだけで精一杯」という経済状況になるからというもの。だからエンゲル係数を計算すると各家庭の経済状況が分かると言い、自分の家庭のそれを計算して、クラスでわいわい騒いだことを思い出
しました。その頃は“格差社会”という語はありませんでしたが、まだ親たち
は毎日の生活だけで手一杯で、ささやかな娯楽で満足していた時代でした。
(蛇足ですが、エンゲル係数はドイツの統計学者、エルンスト・エンゲルによって発見された統計的経験法則)
今回のこのエンゲル係数の上昇を「欧米がうらやむ日本の豊かさの象徴」
という人もいます。そういえば普通の主婦やOL、年金生活の高齢者たち
が有名になった飲食店に列を作って食べに行ったり、デパートのグルメ展
に長蛇の列をつくったりというニュースをテレビなどでよく見かけます。
予約が取り難いレストランなんて言う番組も多いですね。長い列の先端が
ラーメン店という話題などを見ると、「へぇ~、お昼のラーメン一杯にも
こだわっているんだ!」と感心するというか呆れている私ですが、「費用
をかけて食を楽しむ人が増えたとみるべき」という分析をされていた評論
家がいらして、「そうなんだぁ」と思ってみたり、「そうかなぁ」と思っ
てみたり。
スーパーのレジで並んでいると、食材を買う人よりも総菜や弁当を買っ
ている人の方が多いように思います。魚売り場は刺身や調理済みのもの、
肉売り場は焼き肉カットのもの等、飲み物も茶葉や粉末などよりもペット
ボトルや紙パックの飲料を求めている人の方が多いように思います。
つまり自宅で料理やお茶を淹れるなどという作業はしなくなり、中食と言
われる調理済みテイクアウトの利用者が増えたのでしょうか。それには当
然のこととして人件費・流通経費・店舗の家賃・事務費等が加算されます
から、家計の食費は増えることになります。
エンゲル係数の上昇には、豊かなグルメ志向の他にも、料理力の低下と
いう要因があるのではと・・・
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