「ねぇ、子供たちが、遺産は金の延べ棒が一番いいんだよね、って言うのよ。そしてね、老人ホームへ入るんだったら、今の家を売っては入ればいいよ、だって・・・」と不満そうに言う婆友。 「お宅の息子さん、よく分かってるじゃない」と私。“空家問題”が話題になってきて、相続人の子供たちが先手を打ってきたようです。
敗戦後の驚異的なインフレを経験した後期高齢者世代には、“不動産” こそ最も信頼のおける財産だったのです。その子世代の
中期高齢者・団塊世代である私たちも、不動産バブルを経験し、“不動産”は絶対
損をしない資産でした。その世代が相続人に対して残してあげたい財産は「美田」
である “不動産” というのが常識的に頭の中にこびりついています。
しかし、朽ち果てた家屋や耕作放棄された田畑が都市近郊まで広がってきてい
ます。戸建よりも通勤に便利な駅近のタワーマンションがいい! というのが今の
働き盛りの人たちの望みなのはよく理解できます。主婦となった女性が、家事育児
だけで済むほど、今の社会は楽ではないですから当然でしょう。
不動産関係者の言葉を新聞で読みました。「相続をしたら、とにかく早めに売って
しまうことが大事」と。「そうでなければ不動産が負の財産、“負動産”になってしまう」と。
「かつてのように、家は財産という考え方で後生大事に抱えていると、永遠にまとわり
つかれます。売りも貸しも住めもしない住宅に管理の費用を払い、税金を払い続ける
羽目になる前に、とにかく早く処分すべきです」
「その際、まず当たってみたいのが隣家や近所。住宅は意外に周囲1km圏など近い
場所で売り買いされることが多い」のだそうです。
東京の空き家率は10.9%、戸数で81万7000戸。相続させられる子供世代が “不
動産” という遺産を引き受けたくない時代になってきたのを知っておくべき時になった
ようです。このことは甥・姪を相続人に考えている人も同じです。
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