「私には身元保証人がいない。どうしたらいいのですか?」というお話をよく耳にします。27年前に当会が発足した時からです。今もこの質問は受け続けています。そして、ますます途方に暮れる人が増えています。
かつては、親の名前を書いていました。親が亡くなれば兄弟姉妹の名前を書いていました。兄弟姉妹が亡くなれば成人した子供の名前を書いていました。相談も依頼もしないで勝手に書いていても、それらの人たちは“肉親だから仕方のないこと”として、暗黙の了解でなりたっていました。
その書類の提出先も、その保証人に確認も取らず、“よし”としていました。
しかし20年ほど前からでしたでしょうか、確認を取るようになってきました。
その方法として“印鑑証明”を付けるように言ってくるようになりました。その
ころから“問題化”してきました。どんな責任を取らされるのかわからない、と
いうことで、肉親といえども保証人になることを了承しなくなってきたからです。
いったい何が不安で保証人を要求してくるのでしょう。入院・手術の時に、と
いうのが一番多い機会のようです。その理由として言われているのは、
(1) 費用の未払いを起こさないための保証。
(2) 生きて、または死んで退院するときの患者の引受人。
(3) 医療齟齬・ミスがあった時の本人に代わっての責任追及を阻むため。
(4) 患者自身の意思確認が取れない場合の代理人。
(1)については、健康保険に入っていれば保険適用診療内である限り、不払いが
生じても医療側は1~3割の損害で済みます。
(2)については、医療側が行政に連絡すれば、そちらで処理します。
(3)については、医療側は責任逃れができないでしょう。
(4)については、成年後見人であってもできませんから、医師の責任において
最善を尽くすしかないのではないでしょうか。
最近の事務局への報告では、身元保証人欄が空白であっても、医療側から拒否
されたという話はありません。かつてその欄が埋められないことで悩んだ人が
たくさんいたことを思うと、隔世の感があります。その欄の記入の意味を深く
考えないで、慣習として書かせていたのではないか、書いていたのではないかと
思っています。
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