1人暮らしの人は、誰も見守ってくれていない不安を抱えています。しかし2人暮らしだったらその不安はないのでしょうか。
時々起る老老介護殺人事件。過日奈良県で起きた96歳夫による92歳妻刺殺事件に、また起きてしまったという悲しみに私は包まれました。
この夫妻には結婚して別居する子供が3人いたと言います。子供達との関係がどのようだったかはわかりません。
仲が良かったにしろ、交流がなかったにしろ、子供たちが責めを受け
ることではないと思います。むしろ高齢者同士で支え合い、このよう
な高齢になっても子世帯に支援を求めず、介護保険という公的自立支
援制度の権利を行使して生きていたという、実に立派な生き方であっ
たというべきだと思っています。
ではなぜ夫は妻を殺害したのか。自白によると「寝たきりの妻は、
自分が死んだら、介護をしてくれる者がいなくなるから」と、妻を先
に逝かせ、自死するつもりだったと。そして自分の首を自分で刺した
が死ねなかったという。どこに問題があったのか。
私は自立の考え方にあったと思います。永年二人で支え合って生き
てきて、介護ヘルパーの手も借り、多分経済的にも自立なさっていた
のでしょう。夫君は「夫婦は支え合って生きるべき」という信念があ
ったのでしょう。夫婦単位で自立していても、1人単位で自立すると
いう思考はなかったのではないでしょうか。
障害者のいる家庭でも起こることがある事件です。老親を介護して
いる親子の間でも起こることです。支援する側も歳と共に限界を迎え
ます。受ける方は自分の所為でと、すまなさで自責の念に支配されま
す。責任感を強く持ち、精一杯頑張っているうちに陥ってしまう精神
状態なのでしょう。
このような話を身近に聞くたびに私が言っているのは、一心同体感を
持たないこと。お相手が独り立ちしているという実感を持てるように、
間を置いて支援を一緒に考えていく方が、お相手も自分も視野を広く
持って付き合えるのではということです。
皆様はどのようにお思いになりますか。
コメントをお書きください