「姉に成年後見人を付けました」と元気な声で電話がありました。
かなり遠くの故郷に住むお姉さまが認知症になったとかで悩んでいた
彼女です。その彼女自身も病身で、遠距離の見守りは難しいし、自分
の生活維持のためには仕事も辞められないし、お姉さまの近くに越し
たのでは仕事も見つけられないから無職という事態に。
そこで遠距離のまま見守っていくには成年後見制度の利用しかない
ということになったとか。これなら姉も自分も自立したままで、対等
な関係で生きていける、という結論に達したそうです。
ところが故郷は農業中心の地域だそうで、身内がいるのに他人さんに
面倒を見てもらうなんて! と親戚筋からは反対・非難されたとか。
しかし、気持ちとしては見守ってあげたくても手を貸すだけの体力
と気力がなくなった今、共に 精一杯生きていくにはこの方法が一番、
と思い決断したそうです。
後見人との折衝や段取りなど大変だったとか。そのような負担に加え、
親戚からの反対意見や避難、特に農村部の常識と都市部のそれとの違い
にも悩まされたと言います。察するに価値観の違いを認めさせるのは大
変な作業です。きっと法的手順に沿って進める成年後見制度の活用より
も気力が必要だったことでしょう。
これで自分のことに集中できるとほっとしている彼女。彼女は姉より
も自分の方が早く両親の元へ行くのではないかし思っている人です。
まずは自分を大切に、病が癒え、楽しいことが多い日々を送ってもらい
たいと祈るばかりです。
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かねこ (土曜日, 30 6月 2012 11:55)
今回のブログを読んで、昨夜放送されていたNHKの番組を思い出しました。
退院してきた84歳の姉の面倒を見ている82歳の妹という姉妹で、妹さんのほうも物忘れがひどくなってきて不安とのこと。
そういう家が増えているんですね。
RW (土曜日, 30 6月 2012 23:22)
私も昨夜の番組を見ました。老人だけの家庭・子供や障害者を抱えながら、生活をどうにか回している人たち。相互援助とか自助努力などでは、難しいのに周りからは気が付かない。公的なサポートが絶対必要です。後見人制度やしっかりした団体との見守り契約はますます、重要になるようです。
イーちゃん (金曜日, 06 7月 2012 09:43)
社会的弱者と呼ばれる年齢になると、強者の方の支援を期待します。
自分が強者側だったころ、果たして弱者側の人の日常にまで分け入って支援していただろうか、と思うとき、どうしたら支援の手につながれるか・・・
「日常生活の見える化」が必要なのかなと思うのですが、都市部の高齢者は犯罪のターゲットにならないかとも躊躇します。